Zoids Official Fan Book EX
Transcripts (Manuals)


Contents: Seismosaurus | Gairyuki | Liger Zero Phoenix | Energy Liger


 
EZ-069 Seismosaurus Manual

セイスモサウルス・バトルストーリー1

 ZAC[ザク]2106年春、中央大陸。ヘリック共和国軍にクック要塞を奪われたネオゼネバス帝国軍は、ただちに反撃を開始した。だがクックは、四方を大河と山脈に囲まれた天然の要塞だ。共和国軍には、最強のゴジュラスギガ部隊もいる。圧倒的戦力を誇る帝国軍をもってしても、クック攻略はたやすいことではなかった。戦局は膠着し、やがて季節は夏へと移っていた。無数の敵に包囲されながらも、共和国軍士官たちの表情は明るかった。サラマンダーやバスターイーグルなど強力な空戦ゾイドにより制空権は保たれ、補給路も確保した。そして、何よりもゴジュラスギガの存在が、兵士たちの士気を高揚させ続けている。古代チタニウムコーティングを施されたギガの装甲は、帝国の兵器をほぼ無効化できる。西方大陸や暗黒大陸に散り散りになった共和国部隊の集結、再編成を待つまで、持ちこたえられる目算は十分にあったのだ。突然の一条の閃光によって、両軍の均衡が破られる時までは!

 バスターイーグルから受け取った物資を運んでいたアロザウラーが、閃光に撃ち抜かれ、円形の切り口を残して上半身を失い、爆発した。ついでゴルヘックスが、レオストライカーが、次々と降り注がれる閃光に、なすすべもなく消えていく。岩場に身を隠しても、その岩ごと消し飛ばされた。
 謎の砲火の前で、共和国のゾイドは動く的でしかない。この戦闘とは呼べない、一方的な殺戮の中で、ついに1機のゴジュラスギガの装甲が撃ち抜かれた。
 ディメトロドンにジャミングされているとはいえ、ゴルヘックスのレーダーは、狙撃地点はおろか、敵の機影すらつかめないでいた。混乱する共和国軍士官たち。彼らは、通信を絶ったバスターイーグルが最後に送ってきた映像を見て絶句した。帝国軍マークをつけた、見たこともない雷竜型ゾイドが、レーダーの索敵範囲のはるか外から超長距離砲撃を放つようすが映っていたからだ。
 今までのどんな雷竜型ゾイドとも違う、長大なシルエット。それはネオゼネバス帝国が、その復権の旗印に掲げた新型ゾイド、セイスモサウルスであった。


セイスモサウルス・バトルストーリー2

 パニックに陥った共和国前線に、帝国軍が突撃を開始した。ひときわ巨大なセイスモサウルスの姿が、共和国軍兵士たちのさらなる恐怖を呼び起こし、防衛線は無残に踏みにじられていく。
 味方の撤退が続く中、一群の共和国部隊がセイスモサウルスの前に立ちふさがった。ゴジュラスギガとアロザウラー、レオストライカーからなる混成部隊だ。ギガの前に展開したレオストライカー隊が、Eシールドを発生させた。セイスモの31門レーザー砲の雨がくる。無数の風穴を開けられ、崩れ落ちるレオストライカー隊。だがこの犠牲が、ギガに反撃のタイミングを与えた。
 追撃モードに変形するギガ。残存ゾイド部隊を従え、包囲網を突破し、セイスモサウルスに迫る。セイスモサウルス護衛の任につくキメラ部隊、シザーストーム、レーザーストーム、スティルアーマーが迎え撃つが、ギガの猛攻は止められない。
 ギガのバスター砲が火を吹いた。命中。セイスモサウルスの横腹から、濛々と煙がたちこめ、周囲の視界をさえぎる。ギガのパイロットは、セイスモサウルスの撃破を確信した。
 だが一瞬後、爆煙の中から悠然と現れたのは、僚機シザーストームとレーザーストームを融合武装させた強化型セイスモサウルス「アルティメットセイスモ」であった。
 セイスモサウルスの腹部にマウントされたクレセントレーザー砲がレオストライカーの装甲を分断し、チェーンシザーがアロザウラーを地面ごとえぐる。さらに荷電粒子が31門の砲塔からシャワーのように放たれ、共和国軍の小型ゾイドを次々に消していく。

 本来、後方支援機であるはずのセイスモサウルスが進軍してきたのは、アルティメットセイスモの圧倒的な戦闘力を共和国軍兵士に誇示し、抵抗の意志をそぐためだった。
 すでにこの前線で健在な共和国ゾイドは、ギガだけだ。だがギガにはまだ、この局面を変えうる最後の切り札があった。32門ゾイド[コア]砲。荷電粒子砲をはるかに超える超破壊兵器。その威力ゆえに、ギガ自身の命を奪う禁断の兵器だ。ギガの背ビレが激しく発光する。だが、それが放たれるより一瞬早く、超集束荷電粒子砲の零距離射撃がギガのゾイド核を撃ち抜いていた。共和国軍を支えた誇り、ギガの巨体がゆっくりと崩れ落ちた。
 それはアルティメットセイスモの勝利と、ネオゼネバス帝国の中央大陸完全制圧が決定した瞬間でもあった。

強化型セイスモサウルス
アルティメットセイスモ


BZ-017 RAZORSTORM
レーザーストーム

クレセントレーザー砲
ストームガトリング
エレクトロンスパイン×2
3連ショックキャノン×4
 ヘラクレスオオカブトとヤマアラシの能力をあわせもつキメラ。クレセントレーザー砲で広範囲の敵を掃討する。

BZ-016 SCISSORSTORM
シザーストーム

チェーンシザー
ストームガトリング
エレクトロンスパイン×2
3連ショックキャノン×4
 アトラスオオカブトとヤマアラシの能力をあわせもつキメラ。チェーンシザーは中型ゾイドも一瞬で切断する。

※この商品にBZ-016シザーストーム(別売り)、BZ-017レーザーストーム(別売り)は入っていません。


EZ-069 SEISMOSAURUS
セイスモサウルス 機体説明

 約50年前の大戦時、旧ゼネバス帝国崩壊の後、技術者たちは暗黒大陸へ亡命。彼らの技術はガイロス帝国に引き継がれ、ジェノザウラーやバーサークフューラーなどの傑作機を生み出した。だが、それらはしょせんはガイロスのゾイドである。ゼネバスが復活した今、かつての帝国の栄光を知る上級将校たちは、ガイロスの技術の入っていない純粋なゼネバス帝国製ゾイドを切望した。技術部は、旧ゼネバス帝国の最強ゾイド、デスザウラーをベースにした新型機の開発に着手。だがそのさなか、彼らは共和国が恐るべきゾイドを造り上げたことを知る。ゴジュラスギガである。
 ギガは、強大な格闘能力と機動力を兼ね備えた、接近戦では無敵のゾイド。高出力Eシールドと古代チタニウム装甲で大口径荷電粒子砲にも耐える、デスザウラーすら上回る怪物だった。帝国将校たちは、新型機にギガを超える戦闘力を要求した。これに対し技術部の出した回答は、ギガの特化した能力すべてを無効化する方法。すなわち『デスザウラー長距離砲タイプ』の構想であった。
 だがギガの装甲は、超長距離からの砲撃で撃ち抜けるほど、もろくはない。荷電粒子は長距離を進むうちに拡散し、威力が低下するのだ。そこでデスザウラー長距離砲タイプではティラノ型の利用を棄て、雷竜型ゾイド、セイスモサウルスを採用。長い体をそのまま粒子加速器と荷電粒子砲の砲身とした。これにより広域に放射されていた荷電粒子の砲火を集中させ、超長距離でも威力を失わない新兵器の開発に成功。従来の荷電粒子砲が絶対的な圧力で溶かし、押しつぶし、吹き飛ばすのに対し、威力を全集中し一点を貫く超集束荷電粒子砲(通称ゼネバス砲)の完成である。
 デスザウラー唯一の弱点であった荷電粒子吸入ファンは腹部に設置し、安易な攻撃の的になることを避けた。また格闘戦にも対応できるようバイトファングと加重力衝撃テイルを装備。中・近距離戦時には、荷電粒子を31門の小口径2連レーザー機銃に通すことで、シャワーのように周囲の敵を一掃する。さらにはブロックスパーツの融合マウントを備えることで、武装の強化も簡単に行なえる。
 ゼネバスの精神と技術を結集[しゅうけつ]してロールアウトしたセイスモサウルス。それはまさに、帝国の新たな象徴と呼ぶにふさわしい旗艦ゾイドなのである。

Weight[じゅうりょう] Depth[おくゆき] Height[ぜんこう] Max Speed[さいこうそくど]
198t 53.5m 10.9m 70km/h

キラーバイトファング
地対空8連装ビーム砲(セイスモ8連砲)
2連銃座式ビーム砲×2
小口径2連レーザー機銃×31
加重力衝撃テイル
BLOXマウント×9
荷電粒子強制吸収ファン
超集束荷電粒子砲(ゼネバス砲)

〈セイスモサウルス 3面〉
【前面】 【側面】 【上面】



©1983-2003 TOMY


 
RZ-070 Gairyuki Manual

凱龍輝[がいりゅうき]・バトルストーリー1

 ZAC[ザク]2106年、秋。セイスモサウルスを主力とするネオゼネバス帝国強襲部隊に敗れたヘリック共和国残存部隊は、中央大陸南端の港、クーパー港に追いつめられていた。
 すでに勝機はなく、この上はネオゼネバスの力のおよばない他の大陸に逃れるしか道はない。だが北の同盟国、暗黒大陸のガイロス帝国はあまりに遠く、西方大陸に至る西の海にはネオゼネバス主力艦隊が待ち受けていた。
 滅亡の淵に立たされた共和国軍。それを救ったのは、東よりの使者だった。ブロックスシステムを生み出した民間軍需企業・ZOITEC[ゾイテック]の本拠、東方大陸である。
 約80年前、宇宙船の事故によって、惑星Zi[ズィー]に地球人が漂着した。彼らの多くは、その技術力でヘリックやゼネバスに取り入った。だが一部には、この星の戦乱の拡大を恐れ、安易な技術提供に反対した者もいた。ZOITECは、その反対派の中心となった一民族が作り上げた企業である。彼らは、ネオゼネバスに対して強い不満と不安を抱いていた。
「ブロックスは本来、民間の作業用の人工ゾイドであり、この大戦後の復興のために生かすべきである」
 それがZOITECの理念であった。

 だが、ZOITECがネオゼネバスに提出した復興用ブロックス開発プランは拒否された。それどころか(多分に恫喝的に)さらに戦闘用に特化したブロックスの供給を求めてきたのである。
「もし、ヘリック共和国が中央大陸を統治すれば…」
 ZOITECの理念と共和国軍の思惑が一致し、東方大陸の地で共和国軍の再編と、対セイスモサウルス用新型ゾイドの開発が始まった(莫大な軍事費のすべてをZOITECが負担し、代わりに彼らは、共和国の大型ゾイド開発ノウハウのすべてを得た)。
 そして数か月後。ブロックス技術を本格的に取り入れた初めての大型ゾイドがロールアウトした。そのゾイドは、共和国が再び祖国に「勝利して還る」という願いと全身の集光パネルが光り輝く様子から、「凱龍輝」と名づけられた。ZOITECに対する感謝の意を込めて、東方大陸の文字が使われたのである。


凱龍輝・バトルストーリー2

 中央大陸南岸を守るネオゼネバス沿岸守備隊は困惑していた。寄港してくる外洋大型母艦ドラグーンネストから、往信がないのだ。
「通信機の故障か?」
 戸惑いながら近づいた検閲部隊は、母艦のハッチの内側から起こった爆発に吹き飛ばされた。
「敵襲ー!」
 港に非常警報が鳴り響く。爆煙と混乱の中、破壊されたハッチの奥から、帝国兵が見たことのないゾイドの一群が悠然と現れた。凱龍輝、エヴォフライヤー、ディスペロウからなる共和国部隊だ。その数わずか1個小隊。あまりにも大胆な奇襲であった。
 すぐに帝国の迎撃部隊が出る。陸にディアントラー、空にシュトルヒ、海にディプロガンズ。四方からの猛烈な砲撃に、凱龍輝の機体は3つに砕けた。
 いや違う。自ら装甲を脱いだのだ。装甲のひとつは飛燕となり、空中のシュトルヒを引き裂いた。もう一方は月甲[げっこう]となり、そのブ厚い装甲を叩きつけるような体当たりで海上のディプロガンズを葬った。そして身軽になった凱龍輝もまた、凄まじい速さでディアントラーを蹴散らしていく。

 凱龍輝の前に、ネオゼネバスのバーサークフューラーが立ちふさがった。素体が剥出しの凱龍輝に向けて、巨大ドリル・バスタークローがくる。イオンブースター全開でかわす。やはり機動力は凱龍輝が上だ。かわしながら、再び飛燕、月甲と合体。強固な鎧を身にまとう。
 フューラーの姿勢が低くなった。荷電粒子砲の発射態勢だ。至近距離。ブースターでもかわしきれない。
 閃光。直撃。フューラーのパイロットは、勝利を確信したはずだ。だが彼は一瞬後、信じられないものを見た。粒子砲のエネルギー波のほとんどが、凱龍輝のオレンジ色のパネルに吸収されていく。
 今度は、凱龍輝が姿勢を低くした。同時にエヴォフライヤーとディスペロウと合体。お互いのゾイド[コア]がリンクしあい、相乗効果で出力ゲージが跳ね上がっていく。
 危険を感じたフューラーは、反転しようとした瞬間、猛烈な光の渦にのみこまれ消し飛んでいた。

 凱龍輝の放った一撃。それは、集光パネルで吸収した光線を体内で生成して発射する集光荷電粒子砲。セイスモサウルスの超集束荷電粒子砲に対抗するために、共和国とZOITEC技術陣が出した回答であった。
 実戦テストを終え、奪い取ったドラグーンネストに乗って悠々と引き上げていく凱龍輝部隊。彼らは誓う。この部隊が量産された時、再びこの地に戻ってくると。今度は本当に凱旋するために。

凱龍輝支援ブロックス
BZ-018 DISPELOW ディスペロウ
BZ-019 EVOFLYER エヴォフライヤー
この商品には BZ-018 DISPELOW ディスペロウ(別売り) BZ-019 EVOFLYER エヴォフライヤー(別売り)は入っていません。



RZ-070 GAIRYUKI
凱龍輝 機体説明

 惑星Zi大異変の影響を色濃く受けた東方大陸では、野生ゾイドが絶滅の危機に瀕しており、生態系さえ崩れかけていた。ブロックスという人工ゾイド技術は、それゆえの必然的な発展だった。
 共和国技術陣は、新型ゾイド開発にあたり強力な大型野生ゾイドを求めたが、東方大陸で要求を満たす個体を探すのは困難であった。そこで同盟を結ぶガイロス帝国に、野生ゾイドの提供を要請。暗黒大陸戦争の傷が癒えないガイロスにも、新たな野生ゾイドを捕獲する余力はなかったが、ネオゼネバスの台頭をこれ以上見過ごすわけにはいかず、現在保有する中で最強のティラノサウルス型野生ゾイド(バーサークフューラーのもとになった野生体)を提供した。
 これにより共和国技術陣とZOITECは、バーサークフューラーにゴジュラス系ゾイドの技術とブロックスの技術を融合。新型ゾイド「凱龍輝」として生まれ変わらせた。

 マグネッサーウイングと両足のイオンブースターにより、オリジナルのバーサークフューラーを凌ぐ機動性を得た凱龍輝は、同時にバイトファングと四肢の爪のキラークローによって格闘性能も強化された。
 また、オリジナルフューラーが生かしきれなかったCAS[チェンジングアーマーシステム]には、ZOITECの誇るブロックス技術が組みこまれた。独立した1個体のブロックスを、B‐CAS[ブロックスチェンジングアーマーシステム]として、2機共生させることに成功したのだ。ツバメ型ブロックス「飛燕」と、カブトガニ型ブロックス「月甲」である。
 この2機は、それぞれ無人機として独立し、空・海での偵察や戦闘にあたる。凱龍輝はこの2機を運用する司令機でもあるわけだ。さらに、同時期に開発されたブロックス・ディスペロウ、エヴォフライヤーとはゾイド核のリンクがはかられ、この2機と融合することで、さらなる格闘性能と火力の増強を可能にする。
 そして、対セイスモサウルス用の切り札となる[イー]シールド、ゴジュラスギガの古代チタニウム合金より開発された「集光パネル」。敵の放った光線兵器の攻撃を吸収し、威力を半減させることができる防御装備だ。しかも、吸収した荷電粒子を体内で急速生成し「集光荷電粒子砲」として、撃ち出すこともできるのだ。
 セイスモサウルスを倒すために生まれた新世代ゾイド「凱龍輝」は、その名のとおり共和国軍に勝利をもたらすことができるだろうか?

Weight[じゅうりょう] Depth[おくゆき] Height[ぜんこう] Max Speed[さいこうそくど]
118t 23.8m 12.6m 290km/h

マグネッサーウィング×2
コアブロック×2
集光パネル×11
イオンブースター×2
キラークロー×4
バイトファング
集光荷電粒子砲

【凱龍輝・素体】
【分離飛行ブロックス・飛燕】
【分離海洋ブロックス・月甲】


〈凱龍輝・3面〉
【側面】 【上面】 【前面】

凱龍輝部隊
カスタマイズバリエーション
【強化型月光】 【司令凱龍輝】 【強化型飛燕】
【ディスペロウ】 【凱龍輝】 【エヴォフライヤー】
【凱龍輝デストロイ】 【凱龍輝スピード】



©1983-2003 TOMY


 
RZ-071 Liger Zero Phoenix Manual

RZ-071 LIGER ZERO PHOENIX
ライガーゼロフェニックス 機体説明

 共和国崩壊にともない、それまでゾイド開発を指揮していた「武器開発局」は消滅。現在、技術者たちはいくつかのチームに分かれ、それぞれが競合しあう形で開発が進められている。たとえば、ゴジュラスギガを開発した技術者たちのチーム「戦略技術部」では、凱龍輝[がいりゅうき]を造り上げた。この機体で特筆すべきは、体をバラバラにしても生体機能を維持し、他のゾイドに合体できるブロックスを装甲として採用したこと。B‐CAS[ブロックス・チェンジングアーマーシステム]と呼ばれる技術だ。
 だが、似たようなアイデアが、別のチーム「武器開発部」でも企画・開発されていた。彼らがめざしたのは、共和国最強の量産機ライガーゼロのための、ブロックス技術を利用した新しいCAS[チェンジングアーマーシステム]だ。ただ着想は同じでも、開発者が違えば完成形は大きく変わる。フェニックスシステムと名付けられたライガーゼロのB‐CASは、凱龍輝とはまったく異なるものになっていた。

 凱龍輝は、そのゾイド[コア]を装着するブロックスのコアブロックとリンクし、戦局によってさまざまに姿を変える。汎用性に特化した、いわば足し算の機体だ。それに対しゼロフェニックスは、ブロックスを追加ジェネレーターとして利用することで、ゼロ本来の能力を倍増させるかけ算の機体。フェニックスのコアブロックがゼロの核に共振することで、ゾイド核から発生するエネルギー量を増幅し、飛躍的に運動性を高めるのだ。中でも、旋回性能と敏捷な格闘能力は素体状態の凱龍輝に匹敵し、ジャンプ力と滞空時間は強襲型空戦ゾイドとほぼ同等にまで強化されている。また、エネルギーCAP[キャップ]技術の導入により、フェニックスシステムで増幅された余剰エネルギーを背中のチャージミサイルに蓄積。360秒のフルチャージで、ゴジュラスギガのゾイド核砲1門分に匹敵する威力を得た。
 フェニックスシステムの有効性は、共和国上層部にも高く評価された。だが国力の限られた共和国は、凱龍輝配備を優先。キマイラ要塞都市戦において、ゼロフェニックス隊はわずか29機で出撃することになる。

Weight[じゅうりょう] Depth[おくゆき] Height[ぜんこう] Max Speed[さいこうそくど]
120t 26m 12.2m 340km/h

チャージミサイル
AZショックカノン×4
ストライクレーザークロー×4
AZ208mm2連装ショックカノン

【ライガーゼロ】
【ライガーゼロ素体】 【フェニックス】
【ライガーゼロフェニックス完全体】
【グライディングモード】 【テレストリアルモード】
【ゲイルフェニックス】 【ライガーゼロブラスター】
【エヴォフライヤー】 【ディスペロウ】
この商品にはBZ-018 DISPELOW ディスペロウ(別売り) BZ-019 EVOFLYER エヴォフライヤー(別売り)は入っていません。

〈ライガーゼロフェニックス・3面〉
【前面】 【側面】 【上面】



ライガーゼロフェニックス
バトルストーリー1


 中央大陸脱出から1年あまり。凱龍輝の増産に成功したヘリック共和国軍は、機動陸軍各部隊の中からエースを集め、凱龍輝部隊を組織。中央大陸再上陸作戦を発動した。強大なネオゼネバス帝国をもってしても、大陸の広大な海岸線すべてに満足できる防御陣を築くことは不可能だ。激戦の末、共和国軍は大陸東海岸に橋頭堡を確保。再上陸を成功させた。各地に潜伏していた反帝国勢力も次々に合流し、作戦発動から2か月をすぎる頃には崩壊以前に匹敵する共和国の大軍団が再編されていた。
 だがその中に、かつて最強と謳われた「閃光師団[レイフォース]」の名前はない。その生き残りたちはかつての鉄竜騎兵団[アイゼンドラグーン]との戦いで、帝国皇帝ヴォルフ・ムーロアを逃した責任を問われ、懲罰部隊として最も苛酷な任務を強制され続けていた。
 そして今、彼らはさらに苛酷な戦場に投入されようとしていた。キマイラ要塞都市。旧共和国首都へと続く進路上に立ちふさがる、天然の巨大カルデラ内に築かれた大要塞であり、同時にキメラブロックスの一大生産工場でもある。共和国軍にとって、絶対に落とさなければならない目標だった。
 だが崖と無数の砲台に守られたこの要塞を、陸上から攻撃することは自殺行為だ。上空には、ロードゲイルが指揮する無人飛行キメラの群れ。再編途上の共和国航空師団にも、突破する決定力はない。そして、懲罰部隊に夜間の奇襲攻撃が命じられたのである。
 懲罰部隊の青いライガーゼロ29機が、要塞都市に突貫する。時速300キロ近い疾走。たちまち要塞から激しい砲撃がくる。迎撃用陸戦キメラも出撃してくる。それでもゼロはスピードを緩めない。自爆攻撃?
 帝国兵士が、そう疑いたくなるほどの無謀な突撃だった。だが、彼らはまだ気づいていなかった。闇にまぎれ、ゼロを追って低く飛ぶ、29機のフェニックスの機影には…。

 共和国新型飛行ブロックス、フェニックス。これこそゼロのために開発されたB−CASだった。上空にいたロードゲイル、フライシザースの群れがゼロを狙って急降下した瞬間、フェニックスがバラバラになった。そのパーツが、ゼロに合体していく。ゼロが、地面を蹴って一気に上空に飛び立った。ゼロが飛んだ…?
 ロードゲイルのパイロットは目を疑った。そこに時速340キロでゼロが滑空、突撃してくる。虚をつかれた軽量の帝国キメラはその加重量に勝てず、次々にはじかれていく。陸戦キメラを飛び越え、空戦キメラを突破したゼロ部隊は、要塞都市の外壁に到達。再びフェニックスと分離し、要塞内へと躍りこんだ。


ライガーゼロフェニックス
バトルストーリー2


 テレストリアルモードで砲撃をくわえるゼロを、上空からフェニックスが援護する。あまりにも簡単に侵入を許した帝国司令部は、一瞬パニックに陥っている。この一瞬を、最大限に利用する。それが、わずか29機のゼロフェニックスで突入した懲罰部隊の生命線だ。部隊の半分が城門を押さえ、後続のゴジュラスギガ、凱龍輝部隊のための道を守る。残りの半分は、無人キメラの官制システムの破壊を狙う。ロードゲイルを、ディアントラーを、シュトルヒを1機破壊するたび、その数倍の帝国戦力が沈黙する。明らかに、基地防衛を無人キメラに頼りすぎた帝国軍の戦略ミスだった。
 やがて、後続部隊の先頭をきるゴジュラスギガが城門に到達した。勝った…。懲罰部隊の誰もがそう思った。だがその時だった、一筋の閃光が、彼らの眼前を走り抜けたのだ。

 閃光は、たっぷり6秒間は続いた。高出力荷電粒子砲の横薙ぎ放射。その一撃で、ゴジュラスギガの首から上が消失した。振り返った懲罰部隊から、悲鳴にも似たうめき声があがった。そこに、彼らを見下ろす巨大ゾイドがいた。
「セ、セイスモサウルス!」
 誰かが叫んだ。1年あまり前、共和国軍をまるごと中央大陸から叩き出した怪物ゾイド。その口が光り輝き、再び城門に向けられた。閃光。侵入しようとしていた2機目のギガが崩れ落ちた。その背後では、突入しようとする味方部隊が大渋滞を起こしている。今度は、共和国軍がパニックに陥る番だった。

 三たび、セイスモの口が城門を向く。その瞬間、ゼロフェニックス隊が四方からセイスモに躍りかかった。ゼロの武器が、セイスモに歯が立たないことは1年前の戦いで分かっている。それでも、味方が立ち直る時間を稼がなければならない。閃光師団だった時、彼らは鉄竜騎兵団を止められなかった。だから、今度こそ仲間を守る。たとえ、命をかけても!
 高速ゾイドがスピードを捨て、身を盾にしてセイスモに挑むことは、無謀以外の何ものでもない。踏み潰され、叩きつけられ、撃ち抜かれ、1機また1機とゼロが倒れていく。やがて最後のゼロが静かに崩れ落ちた時、城門で咆哮が轟いた。凱龍輝だ。11枚の集光パネルの輝きが、怒りの炎のように闇の中に立ち上がる。ゆっくりと機首を凱龍輝に向けるセイスモ。今、中央大陸の戦いの行方をうらなう、決戦ゾイド同士の直接対決が始まろうとしていた。


©1983-2003 TOMY
©1999-2001 SHO-PRO・MBS・JRK


 
EZ-072 Energy Liger Manual

EZ-072 ENERGYLIGER
エナジーライガー
機体説明

 エナジーライガーに先駆けてロールアウトしたセイスモサウルスは、ゴジュラスギガなど接近戦を得意とする重ゾイドを、超長距離からの砲撃で破壊することを目的にしたゾイドである。本来苦手な接近戦は、シザーストーム、レーザーストーム、スティルアーマーなどのキメラブロックスを支援にあてることで対応してきた。だが、凱龍輝[がいりゅうき]の驚異的な性能を目のあたりにし、さらに強力な護衛ゾイドの投入を余儀なくされた。
 そして急遽開発されたのが、ライガーゼロイクスの流れをくむ高速機、エナジーライガーである。

 エナジーライガーには、かねてより帝国技術部が研究中の新装備が数多く搭載されている。そのひとつが、背中に張り出した「エナジーチャージャー」だ。これは、ゾイド[コア]に頼らない画期的な動力システムであり、惑星Zi[ズィ]の大気中に存在する濃密度のタキオン粒子を収集・蓄積し、体内を超光速で循環させて動力化するものだ。このシステムとゾイド核の併用により、エナジーライガーはゼロと同じ野生体でありながら、最高時速660キロという驚異的なスピードを獲得した。
 主な攻撃方法は、エナジーチャージャーが発した熱エネルギーを背部の翼型ブレードに蓄積し、放出しながら対象物を斬りつける「ウィングスラッシュ」。その威力は、ブレードライガーのレーザーブレードを上回る。また、外装武装として2連装チャージャーキャノンとチャージャーガトリングを装備でき、循環させたタキオン粒子のエネルギーによって、加速させたビームを発射できる。
 ZAC[ザク]2107年現在、こと至近戦闘においてエナジーライガーは無敵である。だが、エナジーチャージャーはまだ試作段階のシステムであり、最大出力での稼働時間は5分~10分ときわめて短い。

Weight[じゅうりょう] Depth[おくゆき] Height[ぜんこう] Max Speed[さいこうそくど]
160t 28m 12m 660km/h

グングニルホーン
AZエクスブレード
エナジーチャージャー
エナジーウイング×2
チャージャーガトリング
エナジークロー×4
2連装チャージャーキャノン

【BZ-017レーザーストーム】 【BZ-016シザーストーム】
【エナジーストーム】
【BZ-015スティルアーマー】
【スティルエナジー】
この商品にはBZ-015 STEALARMOR スティルアーマー(別売り) BZ-016 SCISSORSTORM シザーストーム(別売り) BZ-017 RAZORSTORM レーザーストーム(別売り)は入っていません。

〈エナジーライガー・3面〉
【前面】 【側面】 【上面】



エナジーライガー
バトルストーリー1


 ZAC2107年。へリック共和国軍が発動した「ネオゼネバス帝国・キマイラ要塞都市攻略作戦」は、ライガーゼロフェニックス隊の決死の奇襲攻撃により、成功しつつあった。ゼロフェニックス隊は、敵キメラブロックス隊のコントロールシステムを破壊。要塞都市の防衛機能を麻痺させた。残る障害は、セイスモサウルス。ただ1機で、2つに分けたゼロフェニックス隊の一方を全滅させた怪物だ。
 そのセイスモに、要塞突入に成功した凱龍輝がおどりかかった。超集束荷電粒子砲で迎撃するセイスモ。至近距離。直撃だ。眩い閃光が、凱龍輝を包みこむ。だが、凱龍輝はゼロフェニックスを蒸発させ、ゴジュラスギガの重装甲さえ貫いた超エネルギーに耐えきった。11枚の集光パネルが、エネルギーの大半を吸収したのだ。無傷ではない。吸収しきれなかった粒子エネルギーが凱龍輝の装甲を溶かし、負荷のかかった内部回路の一部を焼き切った。そのため、集光荷電粒子砲を撃ち返せない。
 それでも共和国兵士たちからは、歓声があがった。完全ではないにせよ、ついに彼らはセイスモに対抗する力を手にしたのだ。

 後続の凱龍輝2番機、3番機が、そしてゴジュラスギガが次々に要塞に侵入してくる。もはや孤立したセイスモに勝ち目はない。「セイスモサウルスを捕獲せよ!」
 前線司令部から共和国兵士たちに命令が下った。無傷のセイスモを手にすることは、要塞都市攻略と同等の価値がある戦果だ。そして、今ならそれが可能なのだ。
 勝機のないことを知ったセイスモが、機首を返した。後続の凱龍輝と、生き残りのゼロフェニックがそれを追う。機動性に関しては、お世辞にも機敏とは言えないセイスモだ。逃がすはずがない。共和国パイロットたちは、そう思ったはずだ。だが、彼らは知らなかった。この要塞に、もう1機、恐るべきゾイドが配備されていることを…。


エナジーライガー
バトルストーリー2


 先頭のゼロフェニックスが突然、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。何かの影が、突風のようにゼロフェニックスに襲いかかったのだ。後続のパイロットにも、視認できないスピードで。「気をつけろ! 何かい…」言い終わる前にまた影が横切り、ゼロフェニックス2番機も動かなくなった。「よけろ! 上だ!」
 後方からの味方の叫びで、辛うじて影をかわすゼロ3番機。だが影は、信じられない速さで反転、追撃し、必死で態勢を立て直そうとする3番機をいともたやすく葬った。
 ようやく動きを止めた影。それは、共和国兵士が見たことのないライオン型ゾイドだった。だが、あのスピードは何だ? モニターの表示が正しいとすれば、最高速は時速600キロ以上。旋回スピードも、ゼロの倍は速い。格闘戦で、この速度差は決定的だ。ゼロなど止まっているように見えるだろう。その新型ゾイド、エナジーライガーが、ゼロの群れを威嚇するように咆哮した。

 エナジーライガーは、タキオン粒子を動力システムに応用することに成功した、帝国の次世代高速実験機だ。従来の高速ゾイドとは、レシプロ機とジェット機ほどのレベル差がある。加えて、ゼロを一撃で葬る打撃力。こと格闘戦においては、別次元の強さをもつゾイドであった。
 凍りついたように動けないゼロと凱龍輝を見据えながら、ゆっくりとエナジーライガーが後退していく。この日、夜明け前にキマイラ要塞都市は共和国軍の手に落ちた。だが、共和国兵士の心をしめたのは、喜びよりも帝国の底知れぬ技術に対する恐怖だった。


©1983-2003 TOMY


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